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ピンチをチャンスに変える経営      岩井和彦氏

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ピンチをチャンスに変える経営 ―― 株式会社いわい 代表取締役・岩井和彦氏
株式会社いわいの代表取締役・岩井和彦氏は、父親が興した会社を二代目として引き継ぎ、幾度もの経営危機を乗り越えながら会社を成長させてきました。26歳で入社した当時、会社は十数人規模。そこから自らの手で採用と教育の仕組みを築き上げ、一時は年商15億円まで成長させた経験を、赤裸々に語ってくれました。
幾度も訪れた「ピンチ」
岩井氏の経営人生は、決して順風満帆ではありませんでした。リーマンショックの際には、業績が伸びる中でトップダウン・軍隊式の経営を続けた結果、多くの社員が離職。さらにコロナ禍では社内で幹部による「クーデター」が起こり、営業社員が2年半でほぼ全員退職するという事態にも直面しました。売上も15億円から8億円まで落ち込み、「潰れるのでは」と言われるほどの危機だったといいます。
こうした経験から岩井氏がたどり着いたのは、「自分がどんな人と仕事をしたいか」という軸に妥協しないことの大切さでした。
最大の人材育成は「採用」にあり
岩井氏が繰り返し強調したのが、「人材育成は入社後に始まるのではなく、採用の時点でほぼ決まる」という考え方です。人は入社後に根本から変わるものではなく、変わるのは「やり続けよう」と思える気持ちの積み重ねだけ。だからこそ、採用面談では2時間半から3時間かけてじっくり対話し、終始前向きな姿勢でいられた人だけを採用するといいます。
面談では学生に「あなたは会社に何を提供してくれますか」と問いかけ、待遇や条件ばかりを比較する姿勢には妥協しないという姿勢も印象的でした。稲盛和夫氏の「考え方×熱意×能力」という考え方を引用し、能力や知識よりも、前向きな考え方を持つ人を採用することの重要性を説きます。

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制度づくりと働きやすい職場
同社は現在、社員の9割が女性で、その半数が子育て中。育児休業制度の整備を進め、茨城県内でも数少ない「プラチナくるみん」認定企業となりました。きっかけは、初めて社内で結婚・出産した社員を手放したくないという思いだったといいます。
働き方の面でも、2018年から残業ゼロを徹底し、就業時間になれば責任者も含めて全員が退社する仕組みを構築。「不満を作らせない環境を先に会社側が整える」という考え方のもと、社員旅行や飲み会など、社員同士の交流の場も大切にしています。
職場の教養と「五つの心得」
岩井氏は倫理法人会での学びを通じて、「職場の教養」を毎朝の朝礼に取り入れています。同社の五つの心得は「素直・挨拶・笑顔・整理整頓・感謝」。かつてのトップダウン型の朝礼から、今は社員が自ら感想を語り合えるスタイルへと変化させてきました。
妥協せず、愛情を持って向き合う
講話の終盤、岩井氏は「自分がやりたいと思ったことに妥協すると、必ず跳ね返ってくる」と語りました。社員が起こした責任もすべて経営者が引き受けるという覚悟のもと、社員の生の声に耳を傾け、不満をしっかり受け止めた上で、会社としてやりたいことを伝える。そうした双方向のコミュニケーションこそが、信頼関係の土台になるといいます。
数々のピンチを乗り越えてきた岩井氏の言葉には、経営者としての覚悟と、社員一人ひとりへの愛情がにじんでいました。参加した会員からも、「採用の考え方」「働きやすい環境づくり」について改めて学びを得たという声が多く聞かれました。